強烈なヒットをたたき出した新海誠監督の新作、「君の名は。」
今まではそこまでヒット作に恵まれていませんでした。けれど今回の作品で「新海誠」監督の名前を覚えた人は多いでしょう。それくらいインパクトのある作品でした。どことなく切ない雰囲気が得意な新海誠監督。君の名は。を見た人の中には新海誠監督のこれまでの作品を見たくなった人も多いんじゃないでしょうか。ちなみにボクは見てます。ふっふー。
借りてくるまでもなくHuluで見れたのはありがたいです。
というわけでHuluに上がっている『ほしのこえ&彼女と彼女の猫』『雲の向こう、約束の場所』『秒速5センチメートル』そして『言の葉の庭』
残念ながら『星を追う子供』はないんですよねー。
これがあれば全作品、っていえたのに。残念。
さっさと見たい方はこちら。
Contents
新海誠監督4作品あらすじ&感想。
技術的なこともありますので、古いのから紹介していきます。
君の名は。の水準のものが見たいのなら。『言の葉の庭』『星を追う子供』『秒速5センチメートル』あたりから見始めたほうがいいです。ここら辺から新海誠監督の作風が確立or技術が理想に追い付いてきた感じがする。それに初期の作品は結構なSFチック。それでも「男女間の心の揺れ動き」を題材にしていますので、ジュブナイル的ではありますよ。
ほしのこえ&彼女と彼女の猫
ほしのこえ、と彼女と彼女の猫は完全に独立したものになっています。
ほしのこえ
2002年公開された作品。時間は25分で見やすい。監督、脚本、演出、作画編集を、監督自身がほぼ一人で手掛けている。
第一回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門で優秀賞を受賞。第七回アニメーション神戸・第六回文化庁メディア芸術祭特別賞、星雲賞メディア部門、第八回AMD AWARDベストディレクター賞など数々の賞を受賞。
「世界っていう言葉がある。私は中学のころまで世界ってのは携帯の電波が届く場所なんだって思ってた。でも、どうしてだろ。私の携帯の電波はどこにも届かない」
そんなポエミーな独白から始まるこの作品。
新海誠監督の作品を「君の名は。」しか見ていないあなたはびっくりするでしょう。
ばりばりのSFものです。ロボットも出てきちゃいます。
西暦2030年代。人類は火星人と戦っていた。
主人公は二人。中学生の”ながみね”ちゃんと”のぼる”君。
二人はお互い好き同士。いつもと同じように一緒に帰っていると、彼女から驚きの告白が。
なんと”ながみね”は国連宇宙軍の選抜隊に選ばれてしまったという。
訓練のため星を転々とする”ながみね”。地球で待ち続けるのぼる君。
それでも二人はお互いの近況をメールでやりとりする。
が、地球から離れていけば離れていくほど、電波の到達に時間がかかるようになり……。
切ねええええ!!
やめてくれこういう話ほんと、って感じ。
頻繁にメールが来てないかチェックする”のぼる”君も切ないし、なにより”ながみね”ちゃんの「このメールがのぼる君に届くまで一年……。シリウスから片道8年だよ。のぼる君、私のこと忘れちゃうかな」がもう
涙腺キラー。どんどん開く二人の距離と”時間”。二人がどうなるかはぜひあなたの目で。切ないです。
彼女と彼女の猫
彼女と彼女の猫は2000年に公開された完全に個人で製作された自主製作アニメーション
完全モノクロ映画。5分くらいのショートムービー。
彼女と彼女が拾ってきた猫が主人公。淡々と進む主人公の独白。
「長い長い電話の後、彼女が泣いた」
雲の向こう、約束の場所
2004年公開。新海誠監督初の長編アニメーション。前作より大幅に増したクオリティーと、巧みな演出、音楽とのマッチングが多いに評価され、この作品で第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞。なんと宮崎駿監督の『ハウルの動く城』を抑えての受賞だった。
南北に分断された日本。
北海道に建設された謎の塔まで飛ぼうと約束したヒロキとタクヤ。そして二人がひそかに恋心を抱いている少女・サユリ。この三人の交流をメインに描いた作品。順調に飛行機を作り上げるヒロキとタクヤ。しかしサユリは繰り返し、不穏な夢を見続けていた。
そんな日常が前半は続く。言葉を交わすうちに飛行機を作っていることを教えてしまい、”向こう側”にサユリもつれていくことを約束することに。
それから三年後、ヒロキたちは憧れていたサユリが眠り続けていることを知る。彼女を救おうと決意した二人は、あの塔を目指す。
「デラシーラと名付けたこの船で国境の向こうの、あの塔まで飛ぼうとしていたんだ」
パラレルワールドや量子論、多元宇宙論などばりばりのSF。
ほかの作品と比べると、主人公たちとは別の人物たちが割と出番が多い。
だから”主人公たちの世界”を見せる作品ではない。主人公たちを掘り下げない代わりに世界観のスケールはでかい。少年漫画的。居酒屋の描写がめっちゃ好き。おっさん二人で飲むのがかっこいい。渋い。
主人公が飛行機をバックにバイオリンを弾く場面はすっごくいいね!
評価されるわけですよ。
彼女からの手紙が、あきらめかけていた心を動かす。そんなお話。
秒速5センチメートル
2007公開。連続短編アニメーション。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の三本立て。
単館上映でありながらも、半年に及ぶロングランを達成。
アジア太平洋映画祭アニメーション映画賞受賞
イタリアフューチャーフィルム映画祭「ランチア・プラチナグランプリ」(最高賞)受賞。
といった華々しい賞を取った。この当時から監督らしい、風景描写の美しさと緻密さが随所にみられる。
この作品を好きな人は多いはず。ファンタジー要素もなければSF要素もない、等身大の少年少女の物語。
『桜花抄』
小学校卒業と同時に離れ離れになった遠野貴樹と篠原明里の二人が主人公。原因は篠原の栃木への転校だった。
しばらく手紙でのやり取りが続くが、主人公の”思い”はある一方に高まるばかり。
しかしそんな中、主人公の遠野も鹿児島への転向が決まってしまう。このままではさらに距離が開いてしまう。主人公は意を決して会いにいくことにする。7時に駅で待ち合わせ。しかし大雪のため大幅に遅れてしまい……。
「たった一分がものすごく長く感じられ、時間ははっきりとした悪意をもって僕の上をゆっくりと流れていった。僕はきつく歯を強く食いしばり、ただとにかく泣かないように耐えているしかなかった」
公衆電話を使って篠原明里が掛けるシーンが最高。ぐっと感情移入できました。二人の心の動きを描くのが最高にうまいです。
『コスモナウト』
鹿児島に転校した遠野貴樹。この章はそんなタカキに恋をする”隅田”の目線で描かれる。
ちなみに「コスモナウト」とは宇宙飛行士の意味。
「もし私に犬みたいなしっぽがあったら、きっと嬉しさを隠しきれずに、にぶんぶん振ってしまったと思う」
『秒速5センチメートル』
大人になり、勤め始めた遠野貴樹。そして指輪をはめ、東京へ向かう篠原明里。果たして二人はどうなったのか。
「秒速5センチなんだって」
「は、なに?」
「桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートルなんだって」
そんな素敵な豆知識から始まるこの作品。
言の葉の庭
2013年公開。CMなどを除けば、「君の名は。」のちょうど前の作品にあたる。
もうこの段階まで来ると背景の描写が神がかりレベル。自然に動く草木や、そこから滴る水滴。すばらしいライティング(多方からの光によってできる陰影)技術。大成功となった「君の名は。」へと至る確かな軌跡。すばらしい作品。
累計12万人以上を記録。最終興収は1億5000万円。
最初は3週間だけの上映予定が、話題を話題を呼び、9月30日まで公開が続いた傑作。
カナダ・モントリオールファンタジア映画祭 今敏賞 劇場アニメーション部門 観客賞受賞
ドイツ シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭「ITFS」長編映画部門最優秀賞受賞
朝からチョコレートをつまみに酒を飲むOLと、靴職人を目指す15歳の主人公との交流を描いた映画。
そんな二人は雨の日だけ公園であっていた。梅雨入りすると、それに比例して会う機会が増えていく。
当然会話も増え、次第に胸中を打ち明けていくこととなる。彼女が会社をさぼる理由。彼女の抱えている悩み。それは15歳の主人公にはあまりに遠い世界の出来事だった。
「それでね。ちゃんと味がするのその人の弁当。ちょっと前までは本当にチョコレートとお酒くらいしか味がしなかったけど」
しかしそんな彼女に、どうしようもなく主人公は惹かれていく。
そして訪れる梅雨明け。
一番王道でわかりやすい作品。主人公が殴りこみをかけるとことか最高だよね。少年漫画好きにはたまらないっす。熱いっす。
ピアノも最高に素晴らしい。いやほんとに。まじで。サントラ買うレベルでほんとにいいですよ。
秒速5センチメートルと同じく、SF要素もファンタジー要素もない、東京に生きる等身大の男女を描いている。エンディングで流れる秦基博さんのレインもいいよ!
これらがHuluに上がっている新海誠監督の作品です。残念ながら「星を追う子供」だけはないんですけどね。それでも4作品あるのは普通にラインナップいいと思います。
新海誠監督作品以外にも、クリストファー・ノーラン監督が手掛けたバットマン三部作やこの記事(海外の美人ボーカル集)でもちょこっと書いたキックアス、メンインブラック、インセプション、マトリックス等々傑作がそろっているHulu。無料期間に見れば借りるよりかなりお得になりますよ笑
登録はこちらからHuluで今すぐ視聴!今なら無料視聴実施中!
総括。&「君の名は。」を見終わったあなたに、おすすめする見るべき順番。
この記事を書くにあたって改めて新海誠監督の作品を見直したわけです。
いやーやっぱり面白いですね。「君の名は。」を除いてボクが一番好きなのは「言の葉の庭」かな。次に「秒速5センチメートル」
というわけでおすすめする見るべき順番。
まあぶっちゃけると好きな順番で見てもらっても全然いいんですけどね笑
話のつながりはないし、同じ主人公が他作品にまたがって出ることもないですし。
でもやっぱり初期を作品を、「君の名は。」を見てから見るのはやっぱりある程度抵抗あると思うんですよ。
1「言の葉の庭」
やっぱりこいつだー!!
技術的にもストーリー的にも「君の名は。」の次に見るべき作品。
話の作りもシンプル。SF要素もファンタジー要素もなく、フラットでパンチはないが、その分万人がすんなりと受け入れられる設定。なにせ現代の東京、普通の男女が主人公ですからね。音楽とピアノも最高。二人の心の動きもわかりやすい。話も文句なし。
2 「秒速5センチメートル」
いまだ根強いファンを産んだ新海誠監督の傑作。
こちらも万人に受け入れられる設定です。登場人物二人に年齢差はなく、障害がないため余計に二人の恋の行方が気になる作品。終わり方が少し……。
3 「ほしのこえ 彼女と彼女の猫」
新海誠監督の初期作品。さすがに絵はつたないです。でも普通にストーリーが面白いから見続けられる。
30分というお手軽な時間も相まって三番目にランクイン。ロボット出てくるとこの記事にも書きましたけど、あんまり関係ないです。バトルメインではなく、あくまで二人の開いていく距離がメインです。ロボット要素は二人の距離を広げる理由ですからご安心を。
4 「雲の向こう、約束の場所」 「星を追う子供」
もうあとは好みですね。星を追う子供はこの記事では紹介していません(Huluに上がっているのをメインに紹介するコンセプトだから)。新海誠監督の中では一番ファンタジー要素が強いです。そして雲の向こう、約束の場所は、一番SF要素が強いです。どちらも同じくらい、世界観が凝っています。
SF好きな人は「雲の向こう、約束の場所」
ファンタジー好きな人は「星を追う子供」
を見たらいいと思います。どちらの作品も世界観ありきのストーリー運びなので、ちゃんと見て理解していかないといけない点が、少し大変。それくらいであとは面白いですよ。
さて、どうでしたか皆さん。
少しでも参考になれば幸いです。
だいぶ前から新海誠監督の作品を知っていたボクとして、なにやら感慨深いものがあります笑
一気にアニメーション映画界に名を知らしめてしまいましたね。
次は吉浦康裕監督とか有名になってほしいですね。
アンドロイドとの交流を描いた「イヴの時間」面白いですよ。
地上が空なサカサマ人と普通の少年の交流を描いた「サカサマのパテマ」も面白いですよ。
おすすめ!